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piantinaの日記

日本のとある教会で弾いてるオルガニストの毒にも薬にもならない戯言

『失職女子』と『最貧困女子』を読んで

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はてなブログをやるきっかけにもなった大和彩さんの『失職女子』と鈴木大介さんの『最貧困女子』をamazonで注文して届いたので、早速読んでみた。

『失職女子』のほうはamazonさんでは品薄状態になっているようで、先に『最貧困女子』が届いたのでそちらをまず拝読。

 

『最貧困女子(鈴木大介・著)』を読んで

1980年代に生まれ、首都圏のそれほど裕福ではなかったけれどかといってすごく貧乏というわけでもない中流のサラリーマン家庭に育ち、地元の進学校から都内のとある私立大に進んだ私asterixxxには、恥ずかしながら「そもそも最貧困って…?」というイメージしかなかった。むしろ大学を卒業して、キリスト教の洗礼を受けて教会に通うようになってから教会の社会活動(婦人会など)を通して貧困にあえぐ人たちというのをリアルに感じられるようになってきた。とはいえ、大学以外はすべて公立だったのでクラスに「う~ん、そういえば…あの子、もしかしてあまり裕福な家ではなかったのかも?」と思しき子は1人2人はいたような気がする。

しかし、この『最貧困女子』を読んでみて、いわゆる「真の」最貧困女子というのはそもそも学校だとか塾だとかそういったところから早い段階で不適応状態になりドロップアウトしてしまっていて、とりあえずは学校には適応していた(?)私にはあまりわからなかったのだ。

 『最貧困女子』で印象に残ったところをいくつか引用したいと思う。

まず彼女はメンタルの問題以前に、いわゆる手続き事の一切を極端に苦手としていた。
文字の読み書きができないわけではないが、行政の手続き上で出てくる言葉の意味がそもそも分からないし、説明しても理解ができない。劣悪な環境に育って教育を受けられなかったことに加え、彼女自身が「硬い文章」を数行読むだけで一杯一杯になってしまうようなのだ。(第二章・67ページ)

 

何より彼女らは女性の集団が苦手で、実際、女性集団から排除されがちなパーソナリティだったのだ。当然、女友達も少なく、子どものころから地域が学校生活の中で孤立してきたエピソードを持つものが多かった。(第二章・77ページ)

 

 僕の勝手に作ったキーワードに「おにぎりとコスメ」がある。
これは、取材をした家出少女ら(少年も同様)の多くが、過去の小学校時代などに、万引きの経験があったり常習犯の過去をもっていて、その盗んだ商品がおにぎり=食品と、コスメ=化粧用品だったことから考え付いた。

憐憫の要素はある。おにぎりを盗んだという経験は、そもそもが虐待とネグレクト、そして貧困の象徴だ。叩かれる家に帰りたくない。家にいても親は帰ってこないか、食事を作ってくれずに寝ているか、食品が何も家にない。学校に行っていたとしても、帰り道は切ないだろう。(第三章・86ページ)

 さらに、ここで引用は割愛させていただくが、ただ「年収が低い、貧困」といっても、「最貧困」といわゆる「プア充・マイルドヤンキー」とでは違いがある。それが「三つの無縁(地縁、家族の縁、制度の縁)」と「三つの障害(精神障害発達障害知的障害)」と鈴木氏は指摘している。たとえ子どもに知的障害発達障害があったとしても家族や親戚がしっかりしていれば早い段階から何らかのサポート(療育など)を受けることができるし、障害がなければ本人の能力で「自立して」生きていられる(そもそもそういう人はきちんと人間関係が築けるので無縁になることはほとんどない)。さらには愛着障害から来る極度の恋愛依存体質も「幼いころからの家庭環境」が鍵になってくるのではないかと感じた。私はいろいろと事情があって子育てというものをまだしていないが、どうかお子さんを育てているお父さんお母さんには精一杯の愛情と、そして子どもからぜひ目を離さないでいて欲しいと願うばかりだ。また、保育園や学校の先生、スクールカウンセラーなどの教育関係者、ひいてはご近所さんも「あれ、この子、ちょっと様子が変かな?」という細かなところを見て、適切な対応をとらないといけないと感じた。「どうやらこの子は放置児っぽい」「いつもお腹を空かせてうろうろしている」ということも。

ここはあくまでも私の個人的な考え、願いでもあるのだけど、大人はもちろん、法学、経済学、社会学を学ぶ学生さん、福祉関係に進む人にも是非読んで欲しい一冊ではないかと思う。場合によっては高校生の受験小論文や政治経済や現代社会などの授業の課題図書としても読むべきだと思う。

 

『失職女子。』(大和彩著)を読んで

amazonで頼んで首をキリンのように長ぁ~~くしてこの本の発送を待った。
はてなでもかなりの人気のブロガーでもある大和彩さんのブログが一冊の本になった。ブログもぜひ一度読んで欲しいと思うのだが、この本を読めば、いかにして彼女が「ホゴイスト」になったかが詳しく細かく書かれているので是非amazonなり店頭なりで購入して欲しい一冊だ。

帰国子女で海外の高校大学を卒業し(この経歴、羨ましい…!)、ただただ「(毒親からの)自立」と「安定」を求めて就職をするも、身体を壊し休職。そして折からのリーマンショックによる就職難。ちょうど私自身もその頃に仕事をいくつも探して受けては落ち、受けては落ち…を繰り返していた時期なので大和さんの苦労は痛いほどよくわかる(年は彼女より5歳くらい下だが非常に苦戦した記憶がある)。そして、リーマン以前は非正規でもフルタイム(8時間労働×週5日勤務)なら社会保険に入れて(政府管掌保険だったりそこの事業所の保険でもあったりいろいろ)交通費も全額支給され正規社員なみに仕事ができる環境だったのに、そこを境にして同じフルタイム勤務でも残業代が出なかったり保険には入れなかったりと条件が悪くなっていったように記憶している。

思うに、アダルトチルドレンというか毒親もちにありがちなことで「自分に不釣合いな選択(就職先や結婚相手や友人などいろんなシーンにおいて)」をしてしまうのかなという印象を受けた。大和さんの場合は彼女自身がうらやむような経歴や非常に高いスキルを持っているのに、契約社員など非常に不安定な身分にいて、さらにはその「羨ましいなぁ」と思わせる経歴が、人事権をもつようなオッサン社員の「やっかみ」を買ってしまいやすい(「女のクセに俺よりいい大学出やがって!女は黙ってニコニコお茶くみでもしてりゃいいんだ!」的な)のではないかと思ったのだ。おそらくこの手のやっかみは日本の企業風土独特のもので、結局女性進出が進んだ21世紀の今でもはびこってしまっているのが残念なところだ。やっとセクハラ、パワハラ、マタハラなどの形となって表面化し始めただけでまだまだ表に出ない事例はたくさんあるのではないかと思う。

ただ、大和さんは決して何の努力もせずに生活保護という最後の最後の「セーフティネット」にたどり着いたのではない、というのは本をしっかり読めばわかること。いくつもいくつも求職活動をして(しかもハローワークの職員さんや区役所の福祉課の職員さんなどのアドバイスをキチンと受けながら)、受かるように努力をして、でも失敗して、持っているお金も底をついて家賃が払えなくなってどうしようもなくなって生活保護というところにたどり着いたのだ。だから彼女を「すぐ生活保護にすがりつきやがって」と非難するのはちょっとずれていて、単なる言いがかりでしかないだろう。しかもきちんと手順を踏んだり、不正やずるをしたりせずに「慎ましやか」に生活保護ライフを送っているのだし(ごくごく一部の不正をしている人たちのせいでイメージが悪いのだろう)。

ただ、読んでいて、傍から見れば「大変だろうに…」「つらいだろうに…」と思うような状況でもユーモアたっぷりの文章でどこか明るく読めてしまうのだ。そこは大和さんのキャラクターや文才がなせるものだろうと思う。ブログとあわせて読むのをオススメしたい。