piantinaの日記

日本のとある教会で弾いてるオルガニストの毒にも薬にもならない戯言

日本のプロテスタント教会で働くオルガニスト(アマチュア)の戯言

みなさんこんにちは、Piantinaです。

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立派なパイプオルガンですね…。

 

ネット上でもちらほら話題になる話に「技術のある人が”タダ”でそれを提供していいものか」というのがあります。この記事の画像が示すように(?)今回は「オルガン」について久しぶりに話してみようかと思います。

 

ちょっと前にこんな記事が話題になりました。

演奏に代金は払いたくないのか(一部のコメントに対して。最初の文章から変わっています)|ソプラノ川上真澄の音楽とバラがいっぱい、時々子育てブログへようこそ!

 

spotlight-media.jp

 これらの話題に対して私も記事を書きました。

mayflower81.hatenablog.com

 

わたしは日本のとあるプロテスタント教会で働くオルガニストです(なんかブログのタイトルっぽい…ちょっと今度からサブタイトルくらいにしてみようかな?!というのはさておき)。「働く」というと「じゃあ、Piantinaさんはお金もらってるんですよね、プロなんですよね、教会に雇ってもらってるんですよね」となってしまうのですが、あくまでも日曜日の教会の礼拝で弾くのは「無償」で行っています。でも「遊び」ではありませんし、「いい加減な気持ち」でやっているものでもありません。

 

 

つまり「演奏と引き換えにお金を頂いていない」ということになります。ここはあくまでも「日本」ですから。欧州ならば「教会専属オルガニスト」というのが職業として成り立っています。それはドイツだと「教会税」というのがありますし、弾いてもらうのなら技術があって専門的に学んだオルガニストに弾いてもらって、より豊かな礼拝や賛美をささげるのをよしとしている文化があります。

 

 

んじゃぁ、なんで!?と思われるかもしれませんが、宗教施設としての教会で何らかの仕事をするには基本的にお金を頂かないのが「原則」です。祭壇のお花を飾る人、教会の掃除をする人、昼食会(これをキリスト教会の業界用語では「愛餐会」といいます)の料理を作る人、礼拝の受付をする人、聖職者とともに教会の管理・運営に携わる人……みんな「ボランティア(奉仕)」で動いています。それぞれ得意なこと(これを「神様からの賜物」といいます)を生かしながら……。今なんかはインターネットスキルがある信徒さんなんかは教会のブログ、twitterFacebookなどの運営をされている、なんてこともあるかもしれません(信徒でなければ聖職者自らがそっち系が好きで日々更新しているなんてこともあるかもしれませんが)。

 

 

もちろん、お花を飾る人なんかは華道の心得のある人だったり、師範だったりしますし、みんなの昼食を作る人も中には「プロ並」の腕前の人、または「元プロ」だった人なんかもやっています。オルガニストはレベルはまちまちですがたいが「ピアノは習ったことはある(または現在進行形で習っている)」人たちです。わたしは単に大学の部活動がオルガンだった(ミッション系の大学を出ているので)だけで、音楽に関してはプロの資格もありませんし、長年続けているだけのアマチュアです。趣味の延長線上です。

 

 

とはいえ、今の状況をお話しすると、わたしが毎週毎週日曜日に2回の礼拝で弾いているのは、「だれかオルガニストを派遣してください!!居ないと困るんです!」という要望に対して「んじゃあPiantinaさんだったら」ということで「オルガンの演奏スキル」を買われてやってきています。たしかに毎週毎週、年間で104回(ざっと)、さらに冠婚葬祭やクリスマス、自分の所属する教会以外での奏楽も含めてくるとざっくり110回はオルガンを演奏していることになります。しかも、タダで。

 

 

もちろんそれに毎日毎日家のこともやっていますし、猫の世話もありますし、ブログもこうして書いていますし…とあると、正直なところ、たまに「なんで自分ばかりが」と思わないことはありません。ここのところは年に数度「なんで自分ばっかりこんな目にあってるんだろう」と思ったり、「もうオルガニストを引退しよう」と思うことはあります。でも、結局弾くのが好きなわけだから続けられているのかもしれませんが、その「弾くこと」すら嫌いになりそうな瞬間というのがあります。

 

 

んじゃぁ、日本でグダグダしてないで、ヨーロッパなりなんなりで弾いたらいいじゃない!?と思われるかもしれませんが、30歳を越えて縁もゆかりのない異国で、たとえお給料をもらえるとしても弾きたいですか?と言われてもすでに家庭もありますし、言葉の壁もありますし、アジア系に対する偏見(だいぶなくなってきたとは思いますがゼロになったわけではない)もありますし、今現在ヨーロッパそのものが「移民」に対してちょっとナーバスになっているのもあります。それに親もどんどん年老いてきていますし、何かあったときにすぐに日本に帰れる保障はありません。

 

 

ただ、私自身の価値観からしたら、「その技術のある人にお願いをして何かをしてもらったら何らかの御礼をする」のが筋と考えます。その労働に対する対価でもありますし、忙しい中、そのスキルをフルに生かしてもらっているわけですから、「タダでやって」というのはあんまりだなと思います。残念なことに日本は音楽というと「タダやボランティアでやってもらえる」と思い込んでいる人がいるようで、どんなレベルであれ、演奏に対して何の反応もなく、「やってもらえて当たり前」「むしろアンタの演奏する場や機会をコチラが提供しているんだ」となってしまっているんだなぁと思います。

 

 

例外として「冠婚葬祭」はお礼を頂くようにしていますし、教会で結婚式または葬儀となったときには「オルガニストへの謝礼」というのを個別に用意していただくように教会からお願いしてもらっています。もちろんその人が出せる範囲での額で、ですが。