piantinaの日記

日本のとある教会で弾いてるオルガニストの毒にも薬にもならない戯言

たとえ何者にならなくてもたくさんのジャンルに触れるべき―私の音楽教育考―

みなさんこんにちは、Piantinaです。
先週、2月2日の朝だったでしょうか、驚くべきニュースが入ってきました。

www.asahi.com

f:id:mayflower81:20161017152051j:plain

 

私自身はメールで朝になると朝日新聞のニュースが入ってくるので、たまたまスマホでこの記事タイトルを見ました。
どうやら、あのJASRACが音楽教室から「演奏権」として著作権料を受講料の2.5%を徴収するという話です。このニュースは瞬く間に音楽家、音楽愛好者、音楽教室関係者、教育関係者などの間で大きな話題になり、あるところでは「4分33秒黙っているとJASRACがやってくるぞ」という騒ぎにもなりました。どうやらあのジョン・ケージの「4分33秒」も著作権があるそうです。
名指しで標的とされた大手音楽教室の側は、「音楽教育を守る会」という組織を発足、JASRACと全面的に戦うようです。

「音楽教育を守る会」発足、ヤマハ音楽振興会・河合楽器製作所ほか全7企業・団体 | リセマム

作詞家や歌手の宇多田ヒカルさんらも声を上げています。

音楽教室からも著作権料を徴収しようとするJASRACに「残酷な天使のテーゼ」作詞者が物申す! - BIGLOBEニュース

宇多田ヒカル、自分の曲を「著作権料なんか気にしないで無料で使って」 - エキサイトニュース

 

私Piantinaのこれまでの出会いと今回の件への意見と懸念

ここからは、私の意見を述べさせていただきたいと思うのですが、私Piantinaはただの田舎の教会のオルガニストであり、アマチュアの教会のオルガニストです。プロの音楽家でもなければ、著作権法に詳しいわけでもありません。音大も出てなければ、大学では法学を専攻したわけではありませんのでただの「イチ音楽教室の卒業生で今現在もピアノ教室になんとか通っている」身なので、ハッキリ言って音楽教室に通いながらも何物にもなれなかった素人の中年の音楽好きオバサンの意見でしかありません。

 

 

私は、5歳にほどちかい4歳の時点で音楽教室に通い始めました。本当は4歳半間近で始める予定が、半年遅れになってしまいました。だけども、それはその時点では特に大きな差というわけでもなく、普通に「ほかの子にくらべてどう」という問題もありませんでした。まぁ練習嫌いでしたので、さんざんアンサンブルで足を引っ張ったり、親が先生に「もうやめさせたいのですが」と先生に相談に行ったところ、「むしろお嬢さんは耳もよく音感もいいのでもったいない、続けさせてあげるべきだ」と説得されたというくらいです(若干ほめて留めさせてる?と思いますが)。

 

 

私が通ったのはそれこそ今JASRACから標的にされている大手の楽器メーカー系の音楽教室でした。ただピアノをやるだけならばいっぱい個人で音大をお出になっていらっしゃる先生などたくさんいたであろうに、なぜ音楽教室だったかというと、私にはもうすでに亡くなっている伯父が電気店を営みながら(あまり儲かっていなかったそうですが)、副業として結婚式場のエレクトーン奏者でもあったのです。その伯父が母に「子どもが生まれたら、とくに娘が生まれたら音楽教室に通わせたらいい」と言ったそうです。

 

 

 

伯父は「音楽にジャンルというものはない、クラシック音楽だって昔のヒットソングだったんだから」という考えの持ち主でした。伯父は私が物心ついたころには亡くなっていましたが、生きていたら色々と教えてもらったりアドヴァイスをもらったりできただろうなと思っています。それはさておき、音楽教室での教材は私の時代でですが(昭和末期~平成初頭のバブル期)クラシックもありましたが、生徒のオリジナル作品、と古いものも新しいものも収録されていたように覚えています。

 

 

ある先生との出会い

そんな私にある先生との出会いがありました。もちろん今となっては「辞めるべきでない」と引き留めた先生もしかりでしたが、その先生はまた上級のグレード(指導グレードなど)の試験官になられるということでまた新たなステップに踏み出すということで、後任の先生が私のグループレッスンの担当になりました。その先生はW大学を出ていながらも歯医者さんとの結婚が決まっていて、「音大は出ていないけれどもグレードは持っている先生」でした。

 

 

その先生がまた「ロックから現代音楽からクラシックまで」の先生で、さらに楽典の理論も少し組み入れて教えてくださいました。そして私がたまたまその時期くらいに小室哲哉さんの音楽と出会ってTM NETWORKの曲などを耳でコピー(今なんかそんなことしたらJASRACすっ飛んでくるんでしょうかね?)してピアノで弾いていたりするとほめてくださいました。

 

 

おだてられると登っちゃうタイプなので毎週毎週何かの曲をやっていたように思います。でもそれがきっかけで不思議とピアノに触る時間が増え、練習が苦ではなくなりました。それにその先生が「音大を出ていない」のだから、親も「なら普通の私立大学を出てグレードを取りさえすれば先生になれる」と思ってしまったのです。

 

 

音楽教室卒業後

「学習者のためのグレード」の最上級、6級の試験に合格したら、音楽教室(子どもの)は卒業です。それはちょうど小学校の卒業とほぼ同時で、その後中学高校と受験の隙間にレッスンを個人レッスンで先生に見てもらい、1年浪人の末大学に進みました。そこでパイプオルガンと出会ってまた方向転換するわけですが、そうしてバロック時代、ひいては古楽の時代をも知って、何百年と生きているオルガンを生で見て、さらには日曜日の礼拝を弾く経験もして、朝早起きして大学に行き朝の礼拝を弾く…(もちろんメインの専攻、社会学も20単位くらいオーバーして取得して卒業しましたよ!)という時期を経て社会人へとなります。

 

 

さすがにそうなってくると親にレッスン代を出してもらうというわけにもいかず、自分の稼いだお金から月謝を払うことになります。さらに、親から「せっかくならば講師試験を受けることを考えたらどうだ」と言われたので、講師試験対策をしてくれる教室を、と思ったら今の教室に行きついてしまったのです。結果的には教会の礼拝の奏楽者になったり、奏楽者をやっていたらなんだかなりたて(当時)の聖職者と出会って、神様の導きかさらに結婚して教会に住むという人生になってしまったので、ピアノ講師になることはすっかり諦めてしまいました。

 

 

 

今となっては「大事な日曜日に試験で奏楽をお休みするわけにいかない!!」ということもあり、それにだんだん教会からの「無茶ぶり」に慣れてくると初見能力などもついてきたのでそれはそれでいいのかな?と思うようになりました。でも専業主婦になったからと言って、時間が無限にあると思ったら大間違いで音楽理論の勉強はまだまだ進まずです。で、単なる田舎の教会のアマチュアのオルガニストのおばちゃんのできあがりです。

 

 

多ジャンルの音楽と触れ合って良かったことと今回への懸念

でも、教会オルガニストになっても、ロックや現代音楽、歌謡曲、ポップス、洋楽からクラシック、古楽と「多様なジャンル」に触れてきたことは決して回り道でもなんでもありませんでした。今や新しい、作曲者が生きているような聖歌なんかはコードまでふってありますから、「コードが分からない、Cって何ぞや?次Aマイナー?F?Gセブンス?えええ?なんじゃなんじゃこれ」となっているようなガッチガチのクラシック頭では対応できませんし、ポップな聖歌についていけなかったりしたでしょう。実際収録されているんですよ。

 

 

そして、懸念としては、音楽教室で触れられるのがクラシックだけになる、というだけでなく、レッスン料が著作権料としてさらに引き上げになりさえすれば、「音楽教室に通う子ども」が減ってしまうのではないかと思うのです。毎月の月謝の増額分としてはわずかであっても年にしたら相当の額になったりする、と思うと、今や習い事も多様化した21世紀、ダンスやお料理、ピアノを習うはずの子どもがほかの習い事へ行ってしまう可能性も危惧されます。

 

 

あとは、JASRACが主張している「演奏権」。これはどうやら結婚式場や冠婚葬祭の場でもそうなのらしいですが、「不特定の」「公衆」を前にして演奏されることで発する楽曲使用料なのだろうですが、音楽教室の場合はそもそも入会の際には「入会手続き」を踏んで入っていますし、先生が模範演奏として演奏するものは決して「公」ではなく「特定された生徒さん」を前にして演奏するだけです。その先生のレッスンの生徒さんじゃない人の面前じゃないですし、なんだかおかしな理由だなと思うのです。

 

 

だとしたら、教会だって取られてしまう!とか思うのですが(不特定の公衆)、どうやら宗教団体のそれは対象外なんだそうです。ただ讃美歌、聖歌にも著作権はありますので、古いグレゴリアンとかばっかになるのでしょうかね?それでもいいですけど(笑)

 

 

それに、子どもでもクラシックの良さがよくよくわからなくて、自分の好きなアニメの曲なら練習するよ!っていう子だっています。昔の私と似たようなタイプですね。でも仮にきっかけが「アニメ」でも何でもいいんです。楽器に触れ、さらにジャンルを広げて音楽を愛好するきっかけがあれば、大人は、社会はそれを応援してあげるのが筋なのではと思うのです。きっかけが何であれ「音楽っていいね」と出てきたばかりの芽を大人が、社会が摘んでしまっては何にもならないと思うのです。

 

 

今回のJASRAC著作権料の問題はさらなる「楽器離れ」「音楽離れ」を進ませるものではないかと思うのです。それに私だって今やピアノ教室に通う「高速バス代」だけでもヒーヒー言っているのです。レッスン料引き上げなんてあったらたまったもんじゃありません!!(怒)